これから重松清氏の小説をいくつか読んでみたい。であれば、氏の「個人的なお話」である「きよしこ」を先に読んだほうがいいだろう。 氏が言うには「私小説」とは違うらしい。「個人的なお話」とは、氏とよく似た「きよし」という少年の話。タイトルの「きよしこ」は、主人公の「きよし」がクリスマスソング「きよしこの夜」を「きよしこ の 夜」と勘違いしたところから生まれたキャラクターだ。きよしは、きよしこのことを遊び相手になってくれるピーターパンか何かのような存在だと勘違いしていた。 だが、きよしこは小学1年生の時、夢の中で現れて以来、現れなかった。ただ、きよしの側に寄り添っていた。 きよしには、幼い頃から吃音が…