新潮文庫 1994年 「飛ぶ男」と同じくワープロに残された「飛ぶ男」の長大な 一編を成すはずだったろう短篇。こっちは透明人間篇と呼ぶ にふさわしいようだ。僕の様な愚の者にはいかにもくだらな く思える二篇だが、深読みをすると、ホモサピエンスどーだ らこーたら、と福岡伸一氏の論も解ったような判らんような と云っても、これは発表意図の未だない未完の作。そう云え ば北野武監督の作品にもたけし軍団をつかった透明人間に関 する愚にも付かない傑作があったな、と思い出した。 兎に角、我々は考える葦として、こういう作品を読み考えな くてはならぬと云うことらしい。 シンカーにならねばならぬ、とはこれも福岡氏の言葉…