米澤穂信の小説。 2004年2月,東京創元社より刊行。
一九九一年四月。雨宿りをするひとりの少女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。遠い国からはるばるおれたちの街にやって来た少女、マーヤ。彼女と過ごす、謎に満ちた日常。そして彼女が帰国した後、おれたちの最大の謎解きが始まる。覗き込んでくる目、カールがかった黒髪、白い首筋、『哲学的意味がありますか?』、そして紫陽花。謎を解く鍵は記憶のなかに――。忘れ難い余韻をもたらす、出会いと祈りの物語。気鋭の新人が贈る清新な力作。
読書『さよなら妖精』(米澤穂信)*1 *1:2004年2月/東京創元社
米澤穂信のダークな青春小説 2006年刊行作品。単行本書下ろし。これまで米澤穂信作品は、角川、東京創元社から出ていたが、三社目の版元は新潮社である。刊行タイミング的には『夏期限定トロピカルパフェ事件』と『遠まわりする雛』の間に出た作品ということになる。 2007年版『このミステリーがすごい! 』で15位にランクインしている。 ボトルネック 作者:米澤 穂信 新潮社 Amazon 新潮文庫版は2009年に刊行されている。 おススメ度、こんな方におススメ! おすすめ度:★★★(最大★5つ) メンタルの安定している方(←重要)、明るく前向きなきょうだいにコンプレックスを感じている方、ダークな世界に触…
ビブリオバトル、興味あるな~ 本の話したいし、してる人の話聞いてみたい。好きなものは上手く話せるようになりたいしな。 以前感想は書いたけど、バトルに使えるような他人におすすめできるような文章ではないので今回改めて書いてみる。 shaker0831.hatenablog.com 『犬はどこだ』は2005年に刊行された米澤穂信のミステリ。 それまで『氷菓』『愚者のエンドロール』『さよなら妖精』など、主に学園を舞台として日常の謎を扱う作品を執筆していた作者が、はじめて本格ミステリ、大人が主体として登場する作品として刊行した1冊目。 かといって作風がガラッと変わるわけではなく、米澤穂信らしさはそこかし…
先日ふと思い出し、読みかけだった本を手に取ることにした。 〈古典部〉シリーズは1作目の「氷菓」がアニメ化されたこともあり、ご存じの方もそれなりにいるかと思う。 まあそれももう10年前の話なのだが……。 ともかく、〈古典部〉シリーズは廃部寸前の古典部に入部した男女4人の高校生を中心として、探偵役の折木奉太郎が学校生活の中の謎を解いていく、日常ミステリ作品だ。 これまでに6冊が刊行されており、2016年に発表された「いまさら翼といわれても」は現時点で最新作となっている。 いまさら翼といわれても(1) [ 米澤 穂信 ] 楽天で購入 作者の米澤穂信は〈古典部〉シリーズ以外にも、「さよなら妖精」、〈小…
じいちゃん大ファンの米澤さんの26冊目の本は、最新刊です。ちょっと行列は長かったです。 可燃物、米澤穂信、文藝春秋、2023.7、20cm 275p 「葛警部の鮮やかな推理が光る5編。崖の下.ねむけ.命の恩.可燃物.本物か」 群馬県警葛警部が大活躍する短編集です。ただ大活躍といってもやってることは部下を使って、地道に証拠や証言を集めて…。そして、最後の最後に、「そういうことか」という推理を披露してくれます。米澤さんの長編というのはけっこうめんどくさいところがあるんですけど、今作は短編集なんでサクサク読めました。超満足。もっと読みたい。・・・・・・・・・・米澤穂信(よねざわほのぶ)さんの作品の中…
栞と嘘の季節 (集英社文芸単行本) 作者:米澤穂信 集英社 Amazon 「本と鍵の季節」に続く高校生図書委員堀川次郎と相方の松倉詩門のシリーズ、第2巻。前作の感想はこちらに。 abogard.hatenadiary.jp 相変わらずうまい。唸る。ぐぬぬ。文章が読みやすい作家というのは星の数ほどいるもので、読みやすい文章で平然と嘘を吐くミステリー作家というのも浜の真砂ほどいることでしょう。でも読みやすい文章で平然と嘘を吐きつつ、はっきりと綻びを提示して「ここが推理のポイントだぞ」と見せつけ、そのうえで早々簡単には謎を解かせない作家というのはなかなかいないものです。いまさら言うのもなんですが巧い…
米澤穂信の警察小説が登場 2023年刊行作品。文芸春秋の刊行するエンタテイメント系小説誌「オール讀物(よみもの)」に2020年~2023年にかけて、散発的に掲載されていた作品を単行本化したもの。本作には、米澤穂信(よねざわほのぶ)作品のお約束として英題が存在する。こちらは「Combustible Substances(可燃性物質)」と、わりとそのまんま。 おススメ度、こんな方におススメ! おすすめ度:★★★★(最大★5つ) 主人公が刑事、警察組織をメインとした作品がお好きな方、警察小説を愛好している方。警察小説でありながら、本格ミステリの要素もしっかり入っているタイプの作品を読んでみたい方。群…
エクステンション〜 ソウル旅行記があまりにも完成しないので、飽きてしまい週末読書まつりを開催しています。 この夏ハマっているのが、米澤穂信さんの作品群。 米澤穂信さんといえば、京都アニメーションによりアニメ化されたわたし、気になります。の氷菓、「古典部シリーズ」に名高い、ラノベ作家と思いきや、今や日本を代表するミステリー作家様なのですね。すごい。 きっかけは、「本と鍵の季節」です。 本と鍵の季節 〈図書委員〉シリーズ (集英社文庫) 作者:米澤穂信 集英社 Amazon 図書委員の男子高校生二人組が本と鍵にまつわる謎を解いていくという話です。 最大の魅力は、ズバリ!「顔の良い松倉と人の良い堀川…
真実の10メートル手前 太刀洗万智シリーズ (創元推理文庫)作者:米澤 穂信東京創元社Amazon 読み終わった本の記録。太刀洗万智シリーズ。 1作目『さよなら妖精』この作品では、学生時代の彼女の造形が描かれる。第三者視点だったので、謎多く表情乏しくしかし非常に頭の切れる女性に見えるものです。 2作目『王とサーカス』この作品では、彼女の一人称視点になっている。私はこれから先に読んでしまっていたので違和感はなかったんですが。 3作目の本作は短編集。視点は他者視点に戻る。そして各短編それぞれ、別の人物からの視点になるのがまた新鮮で面白い。 本当に丁寧に、文章とプロットが描かれているように思う。読ん…
マチネの終わりに(文庫版) (コルク)作者:平野啓一郎コルクAmazon 読み終わった本の記録。 天才クラシックギタリスト蒔野と、多言語を難なく扱うジャーナリスト洋子とが出会い、懊悩し、織りなしていくお話。 読み始めますと、この人たち牛丼とか食べたこと無いんやろな… ワインとパンとアンチョビで身体ができているのではあるまいか…という、ひどく下世話な感覚になるのは正直に申し上げましょう。「どんな世界やねん!」と。高尚すぎるやろと。 「出会い」ののちは初々しく瑞々しく、いやしかしお互いがもういい年なので仕事やしがらみも多く、会わない。会えない。物語の都合という側面もあるでしょうが、わかるーそうだよ…
さよなら妖精 (創元推理文庫)作者:米澤 穂信東京創元社Amazon 読み終わった本の記録。 『王とサーカス』が面白かったので、その前書に当たるということで借りてきた。 ボーイがミーツしている。著者はもともとこういうジャンルで活躍されていた期間が長いというのを目にしていて、青春小説とミステリーが交わる作品というのを、なるほどそういうことかと、新しい体験だった。 何気ない会話ややり取りが続くのって自分は苦手かなと勝手に思っていたけれど、そんなことはなかった。ちょうどよく登場人物が絞られ、無理のない範囲で屈託があり、不思議と心地が良い。 年齢設定のわりに「賢すぎるだろ」と感じる部分はあったけど、思…
実家回収本の記録 実家からの回収本。 手持ちの本と混ざる前にパチリ📸 数多の死線(断捨離)を超えて残った猛者たち。 小学校〜20代前半に好きだった本だけど、さすが精鋭、今でもときめく。はよ読みたい。 こう並べると趣味偏ってるのがよく分かる。 人死ぬ割合多い(笑) 『闇は集う』なんて物語スタート時点で死んどるしな😇 しかしなんで 米ぽの『小市民シリーズ』『古典部シリーズ』、 江國香織の『ウエハースの椅子』『東京タワー』『泳ぐのに安全でも適切でもありません』『ぬるい眠り』、 有川浩の『図書館戦争シリーズ』 沢木耕太郎の『深夜特急』『1号線を北上せよ』 などなど断捨離してしまったのか…。 『家族八景…
akosmismus.hatenadiary.com これのミステリ版を作れといわれたので作ります(というかおすすめ SF についてももう 5 年前だしあれからいままでに読んだ面白かったやつを追加したいですね。まあそのうち)。ていうかこれも作品名だけ列挙しておすすめの理由とかまったく書いてないのに真に受けていろいろこのなかから読んでるひとがけっこういてびっくりするよね。でも読んだらおすすめしてる理由はわかるでしょう? ところでわたしって SF とミステリどっちのほうが(冊数でいうと)読んでるんだろう? と考えるとたぶんミステリなのだが、SF のほうがなんか自信がある。SF オタクは世の中に(と…
米澤穂信、二年ぶりの長編作品(当時) 2013年刊行作品。『小説新潮』に2011年12月号から2012年8月号に連載されていた作品を単行本化したもの。 「週刊文春ミステリーベスト10」2013年で第18位、「このミステリーがすごい!」2014年および「本格ミステリ・ベスト10」2014年版で第10位、「ミステリが読みたい!」2014年版で第15位にランクインしている。 リカーシブル 作者:米澤 穂信 新潮社 Amazon 新潮文庫版は2015年に登場している。カバーの雰囲気がガラッと変わった。 単行本版の帯がひどかった こちらは単行本版の帯だが、これがちょっとひどい。 「リカーシブル」単行本版…
ハーモニーの作者、伊藤計劃さんのSF小説。漫画版、劇場版アニメもあり。 9・11を経て、“テロとの戦い”は転機を迎えていた。先進諸国は徹底的な管理体制に移行してテロを一掃したが、後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。 米軍大尉クラヴィス・シェパードは、その混乱の陰に常に存在が囁かれる謎の男、ジョン・ポールを追ってチェコへと向かう……彼の目的とはいったいなにか? 大量殺戮を引き起こす“虐殺の器官”とは? (Amazon作品紹介より) 人間が本能的に持っている破壊衝動を言語によって刺激し、やがて虐殺を引き起こす。それが「虐殺器官」。ジョンはテロにより家族を失った過去があり、後進国が先進…