2回目のワクチン接種を受けて約2週間。そろそろ効果が出る頃になるが、油断はできない。従来通り、感染予防に気をつけて行動しなければ。そういう意味だと、空いている美術館・展覧会は、数少ない心が落ち着く場である。 ところがサントリー美術館で開催されている「ざわつく日本美術」展は、心を落ち着かせると言うよりは、その名の通り、心がざわつくような作品や展示方法を通して、所蔵の美術品を紹介している。 《尾上菊五郎》明治8年頃 たとえば《尾上菊五郎》。江戸時代の浮世絵(役者絵)を見慣れた人々には受け入れられなかったと言う。この作品の持つリアルさ・生々しさがその要因と考えられている。当時の「砂目石版」という印刷…