夜の七時のNHKニュースで、僕は山狩りの様子を見た。麻酔弾をつめた大型ライフル銃を抱えたハンターたちと自衛隊員と警官と消防団員とが近郊の山をかたっぱしからしらみつぶしに捜索し、空には何機かのヘリコプターが舞っていた。山といっても、東京郊外の住宅地近辺の山だからたかが知れている。それだけの人数を集めれば一日であらかた捜索してしまえるし、それに探し求める相手は小人の殺人鬼ではなく巨大なアフリカ象なのだ。身を隠すことのできる場所はおのずと限られている。しかし夕方になっても象はみつからなかった。TVの画面に出た警察署長は「なおも捜索は続ける」と語っていた。TVのニュース・キャスターは「誰がどのようにし…