ティンパニーがとどろき、シンバルが響く。お経の声が低く、高く聞こえて、いつもの歌舞伎座から不思議な世界へと一挙に誘われた。 命がけで祈る 甘く艶やか。美の極致の前半 僧の群舞が圧巻の後半 受け継ぐ役 粛々と祝う 命がけで祈る 京都のお水取りを見た2代目松緑がぜひ歌舞伎化をしたいと考えて、劇作家の萩原雪夫に作を依頼し、自らは振り付けもしたというこの作品。 歌舞伎を観たあとに、お水取りの様子を写したNHKスペシャルのダイジェスト5分をYouTubeで観てみた。 1270年も絶えることなく続くその修二会(お水取り)とは、選ばれた11人の僧侶が14日間天下泰平や疫病退散を、全身全霊をかけて祈るそうだ。…