映画『つつんで、ひらいて』の中でも、監督が「受注仕事」についてどう思うかと質問する場面がある。それに対して、菊地さんは、創作に於ける「他者性」と「関係性」の重要さを強調する。 これが、いかにも本心らしく響くのは、旧知の編集者と蕎麦屋で会話をしている時に、自分は「こさえる(拵える)」という言葉が好きだ、なぜならそこには、誰かのためという「他者性」があるから、と語るその表情のせいでもある。菊地さんにとって、デザインという言葉に最も相応しい日本語は、この「拵える」だというのは、ハッとさせられる指摘である。(劇場用パンフレット『つつんで、ひらいて』装幀 菊地信義+水戸部功、2019) おはようございま…