物語の主人公は10歳の少女百音(もね)。事故で両親を亡くし,母親の元結婚相手だった統理(とうり)と二人で暮らしている。近所の人たちは二人が「なさぬ仲」だから複雑な家庭と思っている。二人は統理が所有するマンションの一室に住んでいて,朝になると同じマンションの住人で屋台バーを一人で切り盛りする路有(ろう)が朝ご飯を作りに来てくれる。統理と路有は高校時代からの友人で,路有がゲイであることを周囲にカミングアウトしたころからの友だちだ。3人の住むマンションの屋上には美しい庭があり,庭の奥には「縁切り神社」が祀られている。統理はこの神社の神主でもあり,そこには人との縁や心の迷いを断ち切りたい人が訪れる。 …