義父の妹──つまり叔母の訃報が届いた。96歳、天寿を全うしたという。 嫁いだばかりの頃は、よくこの叔母の家を訪ねていた。叔母の家には波乱万丈の歴史があると、私は思っている。 当時、叔母の家の長男夫婦は、私たちとほぼ同時期に結婚していた。「嫁同士」という立場で、彼女と私は何かと比較された。学歴、家柄、嫁入り道具──比較される項目は尽きることがなかった。 私は専業主婦だったが、彼女は仕事を持っていた。ほどなくして、彼女は女の子を出産。そのころ、叔父(彼女の義父)は末期のがんで入院していた。 痛みに苦しむ叔父の付き添いには、親戚一同が交代であたった。もちろん私も、何度も手弁当で病院に通った。しかし彼…