誰もが口をそろえて「ご主人、いつもお洒落でダンディですね」と言う。そのたびに私は、「え?で、私はどうなの?」って、心の中でツッコんでいた。 まぁ、仕方ない。私はそもそもお洒落に興味がなく、センスもいまひとつ。夫がいつもコーディネートしてくれていたけれど、どうやら身についてはいなかったらしい。 夫がお洒落な人だと気づいたのは、結婚してしばらく経ってからだった。人に言われて、ようやく気づいたくらい。 ワイシャツのアイロンがけは、結婚当初から夫が他界する直前まで、42年間欠かさなかった。雨でしわになれば、仕事の途中でも帰ってきてズボンにアイロンをかけ直すほど。ジャケットのポケットが少し浮いているだけ…