小さい頃、街で車いすの人を見かけた。私はその人のことをかわいそうだと思った。その人は守られるべき対象で優しく接しないといけない。その人には誰しもが無償の愛情を注がないといけない。私はそういう風に考える、少し変わった、気持ちの悪い子どもだった。図書室でマザーテレサや宮沢賢治、シュヴァイツァーといった人の伝記を何冊も読んでいた私はどうしたら「優しい人」になれるのか考えていた。どうするわけでもなく、またどうする力を持っていないのに、通りの向こうにいる車いすの人のことを助けてあげないといけないと思っていた。駅構内で見かける白杖の人も、公園のベンチに座っているダウン症の人も私にとっては「かわいそう」なの…