ここは色を持たない世界。辺りは灰色一色。もしくは黒か白でした。 そのころをはいいろのときと言いました。 晴れていても、どんより曇っている日も、ずっと変わらず灰色なのでした。 魔法使いは地下室にそっとこもると、魔法の薬を作って、呪文を唱え、 ツボの底に水色の液ができました。 その水色で、辺り一面を水色に染め上げました。 家も、人も、動物も、植物もみんな水色です。 あおいろのときが始まりました。 灰色から水色になり、初めて世界に色を持ち、最初みんな喜びに沸きました。 しかし、しばらくすると、なんだか悲しい気持ちになってきたのです。 あおいろのときは、だんだん、憂鬱でたまらなくなりました。 みんなが…