小さい頃、大きな夢を抱いていた。 背中の大きさに合わないそれは背負うことも難しかったけどいつかは叶うと信じて疑わなかった。 大切な物語が、音楽がそう教えてくれたから。 ところが 気が付いたら随分と大きくなってしまった。 前を向いてなんとか生きている、あの頃の私がみたらきっと今の私を自分だとは思わないだろう。 空に浮かぶ太陽の明るさに自分の色が分からなくなった。太陽が憎くなった。 淀んだ視界にある日忽然と現れた人 私の濁った瞳に姿を映した人 薄汚れた街でぼんやりと光った。 朧月の様に思えた。 日々はしんどいが楽しみも増えた。 心が年齢に追いつくようなじんわりと少しづつ、筆先をバケツにつけて洗う時…