一話が終わる。台所は片づき、騒ぐだけ騒いだ同級生たちは帰っていき、家の中の音が減っていく。笑いどころはいくつもあったが、事件らしい事件は起きていない。そういう回だ。 そのページの隅に、数字が置かれている。まほろさんが機能を停止するまで、残り何日。話に乗っているあいだは忘れていられた数が、締めくくりで必ず顔を出す。前の回で見たときより、きちんと小さくなっている。 明るい話の下にこれを敷いてあるせいで、どうということのない一日が、二度と来ない一日として積み上がっていく。 メイドの名はまほろ。ヴェスパーという組織に所属していた戦闘用アンドロイドで、稼働できる日数が残り398日になったところで現役を退…