まみなどもいとたゆげにて、 いとどなよなよと、 我かの気色にて臥したれば、 いかさまにと思し召しまどはる。 輦車の宣旨などのたまはせても、 また入らせたまひて、 さらにえ許させたまはず。 「限りあらむ道にも、後れ先立たじと、 契らせたまひけるを。 さりとも、うち捨てては、え行きやらじ」 とのたまはするを、 女もいといみじと、見たてまつりて、 「限りとて 別るる道の 悲しきに いかまほしきは 命なりけり いとかく思ひたまへましかば」 と、息も絶えつつ、 聞こえまほしげなることはありげなれど、 いと苦しげにたゆげなれば、 かくながら‥ 目つきもよほどだるそうで、 平生からなよなよとした人が いっそ…