私がまだ小さかったころ、弟が生まれました。弟は体が弱かったので、生後しばらくは母親は弟の世話にかかりきりだったようです。そのため同居していた祖母が、私を幼稚園に送り迎えしてくれていました。 幼稚園のすぐそばには古くからの駄菓子屋があり、店先にはショーケース型の赤い冷蔵庫が並んでいました。そのころの母は人工甘味料や着色料が大嫌いで、子供にお菓子や甘いものを食べさせないこと、を教育方針としていました。色鮮やかなお菓子を見ては「こんな体に悪そうなものはダメ」と言い聞かされていた私にとって、冷蔵庫の中の瓶入りの色とりどりのジュースはうっとりするほどきれいで、でも絶対に飲んではいけない毒のようなものでし…