ホルバインによるエラスムスの肖像画 第7章 ヴェネツィアの印刷業者 エラスムスは『格言集』刊行を実現するため、予定していたローマ行きを一時中止してヴェネツィアに移り住むようになった もともとヴェネツィアは、十五世紀中葉以来、印刷・出版活動のきわめて盛んな街だった。 当時のイタリアは、現在と違って、食事の量が少なかった。エラスムスのような北の人は、食事の量は多かったため、食事の時は自分の部屋で食べるようにしていた。 第8章 ゆっくり急げ 「ゆっくり急げ(Festina lente)」 ローマの皇帝アウグストゥスの座右の銘だと伝えられるが、さらに遡れば「ゆっくり熟慮して、しかる後素早く行動せよ」と…