22 「あれから2年か…。月日の流れは早いな…。望も もう3年生、私も年取る筈よね…。」落ち着きだけは、年令に伴なわない夢である。夢は並木通りのスーパーを目指して歩いていた。空を仰ぐと、真っ青な空に大きな固まりの雲が、呑気そうに顔を突き出している。風は暑いながらも、軽やかに吹き抜けた。穏やかな時間。穏やか過ぎてちっとも進まない。夢の瞳の奥の悲しい色を、時間は少しも色褪せさせてはくれないのだ。二年の時は気が遠くなる程、気が変になるくらい長かった。それなのに悲しい気持ちは薄れない…。きっとそれは、あの人を待っているから…。忘れようとしないから…。分っている。…でも夢はその名の通り夢みたいな女なのだ…