『百年の孤独』(ガブリエル・ガルシア=マルケス著)を読んだあと、次はこれを読もうと思って積んであった本にようやくとりかかった。しかし、ウィリアム・フォークナー初心者の私にとって『アブサロム、アブサロム!』を最初に選んだのは、ややハードルが高かったように思う。とつぜん大海原へ放たれたような? いままで味わったことのないような読書体験だった。 アブサロム、アブサロム!(上) (岩波文庫)作者:フォークナー岩波書店Amazonアブサロム、アブサロム!(下) (岩波文庫)作者:フォークナー岩波書店Amazon 特徴といえば、やはり語りの構造である。本作は、ミシシッピ州ジェファスンのまちで、トマス・サト…