ジョン・スタインベックの名作『怒りの葡萄』でオーキーと呼ばれる農業からあぶれた失業者たちが職を求めてさまよう。そんな時代に起きた大平原地帯の干ばつと不毛化という危機はどう回避されたか、その問いは、自分的にはしばらく答えのないままであった。 我ら日本人がお世話になっている食糧の供給元の一つはアメリカであり、大平原地帯以西の穀倉地帯であるのはご承知のことと思う。 20世紀前半、つまり、1930年代にこの豊穣の地が砂塵の覆う不毛の荒れ地に変貌した。機械化に過度に依存した農民たちの過剰な生産追及の結果だったといえば、さしあたり不正確であろうと事情は飲み込めるだろう。 この時代には700万人の農民がいた…