毎年この時期はイタリア映画祭があり新作、旧作が上映される。昨年と今年はパンデミックの影響でオンラインの有料上映があり何本か見てみた。僕の中でのイタリア映画は、フェリーニ、ヴィスコンティ、アントニオーニ、パゾリーニといった監督のものは熱心に見たが、それ以来、ずいぶん遠ざかってしまっている。 今年見た中で強く印象に残ったのが、この『悪の寓話(原題:Favolacce - 英語タイトル: Bad Tales)』。2020年の作品で監督は1988年生まれの双子のディンノチェンツォ兄弟。イタリア映画の系譜でいうなら、不条理を描いて告発するミケランジェロ・アントニオーニ監督の伝統を21世紀に復活させたとも…