〇思い出の葉書を見る度に昔のことがはっきりと浮かんで一層忘れられなくなります。悲しみが新になるのは、何としても仕方がありません。忘れようと努力していますが、その度に自分というものがあまりに浅はかであったことがつくづくと見に染みて時に変な気分になります。「もう日本には帰るまい。このままベルリンにいて、出来たらばグルーネワルトの山にでも籠って修行したい」と思う事すらあります。皆を苦しめて、自分が嬉しいようなこことになったのを思うと。いろいろの御方からなつかしいお便りをいただく度に、今は胸がいっぱいになります。自分のような者は誰が見ても必ず非人間として笑うことでしょう。たくさんに笑って下さい。(?漢…