乾いた文体で会話文が多くてテンポが良く、全体的に初読の時と感想は変わらない。 圧巻の名作「ごきげん目盛り」はいつ読んでもどれだけ読んでも肌が泡立つ。この作品のためだけに購入する価値はあると思う。一人称形式の自我の混乱はおれが書きたかったものそのもので、これまで読んできた短編小説の中でも五指に入るほど好き。リズム、異物感、テンポ、展開、暴力、悲哀……どれも素晴らしい。「ごきげん目盛り」が頭二つは飛びぬけて良くて、あとは「昔を今になるよしもがな」と「地獄は永遠に」という感じかな。 「昔を今になすよしもがな」は筋が映画っぽくて印象深い。絶妙な倫理観と性格をしている二人の登場人物について、べスター本人…