エセ物語 (対抗言論叢書 3) 作者:室井 光広 法政大学出版局 Amazon 『エセ物語』室井光広著を、やっとこさ、読む。 作者、最後の未完の長篇小説。すごいと思う。面白いとは思う。しかし、しかし、ちゃっちゃとは読めない。とにかく時間をかけて読み進める。長距離読者の孤独である。 一応、内容を紹介してみる。「私の双子の妹と結婚していた」かつての夫(外国人)の膨大な遺稿集を読み解くもの。ユダヤ人ゆえ日本語名。重(ジュー)氏。重氏は、「西洋人(ユダヤ系アメリカ人)と東洋人(台湾のチャイニーズ)の両方に血脈を持つ」。「晩年は東アジアに関心を深めて」おり、遺稿集の章立ても「陰陽五行」を踏まえたものだと…
今年も終わるのでまた10冊選んでやっていきます。 下半期のトピックはなんといっても「鵼の碑」でしょう。サプライズにもほどがある。17年ぶりの最新長編は出版がすでにひとつの事件といってもいい。 しかし目下注目しているのは「仮面ライダーBLACK SUN」なんですがね。あの問題作がどう生まれ変わるのかと期待し、今年の第二の目玉とまで思っていたのが刊行すら危ぶまれる事態に。出版中止の報を聞いたときには悲しみの王子になりかけましたがどうやら出版に向けた動きは継続されているようなので来年に期待したいと思います。 図書館島異聞 翼ある歴史 鵼の碑 眩暈を愛して夢を見よ オルゴーリェンヌ プロトコル・オブ・…
現実と虚構を往還しながら日本列島語の根源に迫り、言葉を通じた人類の相互理解可能性への悪戦苦闘という対抗的文学のイデアを具現する、室井光広氏の未完の遺作『エセ物語』。この大著を刊行するためクラウドファンディングを実施し、83人の方から総額904,000円のご寄付をいただきました。本当にありがとうございました! なお、同著は法政大学出版局から本年9月に刊行予定です。 camp-fire.jp www.h-up.com