「鳥の押し葉」という言葉が『銀河鉄道の夜』の「八,鳥を捕る人」で登場してくる。「花の押し花」や「葉の押し葉」は,聞いたことがあるが,「鳥の押し葉」の存在は『銀河鉄道の夜』で初めて知った。賢治は,たくさんの造語を作ったが,「鳥の押し葉」はなかなか理解しにくいものの1つである。日本野鳥の会に所属する賢治研究家の国松(1996)によると,鳥を標本にするときは,仮剝製(かりはくせい)にするのだという。脚にデータを書いた札をつけて引き出しなどに保存しておくと,鳥は 脚をちぢめて体をのばし平べったくなるそうだ。 国松は,賢治がこの仮剝製からヒントを得て「鳥の押し葉」を思いついたと推定している。しかし,押し…