数年前に初めて観た時は、途中で10分ほど寝てしまった。当時は少し睡眠不足で疲れていたのである。そのため、ストーリーを見失った。ストーリーは見失ったが、断片的ないくつかのシーンは、強烈に記憶に残っていた。アルモドバルの映画は色気がある。耽美的である。しかし、日本の耽美的な文学作品のように、ジメジメした感じはない。太陽のように明るく、カラッと乾いている。濡れながら乾いているような感じがするのである。かなり際どい題材を扱っており、ともすれば露悪的になりかねないのに、気品を感じるから不思議である。 この度、数年前に途中で寝てしまった「オール・アバウト・マイ・マザー」に再チャレンジした。今回は、体調も万…