現代中国の女性作家による短編集。 カッコウが鳴くあの一瞬 (白水Uブックス) 作者:残雪 白水社 Amazon 何が書いてあるのかよく分からない。登場人物は無目的に行動し、場面は繋がりなく転じ、会話はあらぬ方向に拡散する。物語というものは、人物が行動するのには必ず動機があるものだが、それは語られない。荒野、と書かれていたなら中国の作家であるということを事前に知っているから大陸の辺境にあるような場所を想像して読み進めるが、それが合っているのかどうかも分からない。何もかも不確かなままページは繰られる。驚くべき結末、といったようなものも開陳されない。ただ茫漠とした雰囲気を残して物語は終わる。途切れる…