「イリアス」の登場人物の一人。プリアモスの娘。 トロイア王女であり、予言の力を持つが、アポロンの呪いによって誰もその予言を信じないという悲劇の人物。トロイアの滅びを事ごとに予言するが、やっぱり誰にも信じてもらえない。 トロイア落城時にアテナの神殿に逃れるがアイアスに犯される。その後、アガメムノンの戦利品としてミュケナイへ連れ去られ、アガメムノンと一緒にクリュタイムネストラに殺された。
1月7日 クリスタ・ヴォルフ『カッサンドラ』読了。トロイア戦争の中でも際立って個性的なのに出番もセリフも少ない、王女にして神官が主役。虜囚となって死を待ちながら戦争の一部始終を振り返りつつ、渦中にいて我を忘れた男たちから終始距離を置き、冷徹で理性的な視線で、誰よりも早く祖国の滅亡を予見していた。男が知的で女が感情的なんて真っ赤な嘘で、誰よりも感情に翻弄されずに曇らない目で見るのは彼女だ。だからこそ彼女は男たちに忌み嫌われ、狂人扱いされて幽閉される。ユダヤの預言者たちが民衆の嘲笑を浴びたように。明晰であればあるほど気狂い扱いされるという皮肉。 1月8日 銀行の帰り道、日のあたる坂道を自転車を押し…