十八 土曜日は特に何事もなかった。 日曜日はクリスマス・イブだったから沙由理からデートの誘いがあった。当然、きくは機嫌が悪かった。そのきくを残して、新宿のとある百貨店で会う約束をした。 午前十時に沙由理と落ち合うと、その百貨店の開店と同時に、目的の売り場に向かって行き、ベージュと紺のリバーシブルのオーバーコートを買った。 その後、少し早かったが、フレンチ・レストランで昼食をとった。 夜のことも考えてか、沙由理は軽めのランチを頼んだ。僕はサーロイン・ステーキを食べた。 食べている時に、「,ねぇ、今日はクリスマス・イブでしょ。夜も付き合ってくれるでしょう」と言われた。 「どうしようかな」 僕は考え…