「示談が成立した後、豊井社長がいってたよ」岩本がいった。 「欠陥のある機械は、いくら修理してもまた故障する。あいつも同じで、所詮は欠陥品。いつかもっと悪いことをして、刑務所に入るだろうって」 玲斗は唇を噛んだ。どういう言葉を返せばいいのかわからなかった。 どうか、と弁護士は続けた。 「これからの生き方で、その予言が的外れだったことを証明するように」 不当な理由で職場を解雇され、腹いせに罪を犯して逮捕された玲斗。 お金も頼る人もいない玲斗は刑務所に行くことを覚悟したのだが、そこへ初老の弁護士が現れ、謎の依頼人のいうことに従うのなら釈放になるようにするという提案があります。 もし釈放されて命じられ…