タイの博物館には、かつてクメール王朝の支配下にあった頃の遺跡から発掘された出土品や美術品が数多く所蔵されています。今日は、その中からクメール王朝・バイヨン様式の観世音菩薩像を取り上げたいと思います。 クメール王朝最西端の遺跡「ムアンシン」 かつて9世紀から15世紀にかけて、現在のカンボジアを中心とする東南アジアに存在したクメール王朝。一時期、現在のタイ王国の少なくない地域がクメール王朝の支配下に置かれ、その勢力はタイ西部エリアにまで及びました。カーンチャナブリー県のムアンシン(『獅子の町』の意)は、クメール王朝最西端の遺跡と言われています。ムアンシン歴史公園へ訪問した時の話は、以前の記事で書き…