(約1600文字・購読時間3分) 1.はじめに飛鳥時代の日本仏教美術を象徴する「止利様式」(法隆寺金堂釈迦三尊像、623年)は、杏仁形の目や仰月形の唇、左右対称の重厚な衣文、台座を覆う「懸裳」を造形的特徴とする。従来、その源流は北魏の雲岡・龍門石窟といった北朝様式に求められてきたが、近年の研究では当時の文化発信源であった南朝(建康)の造形理念が、北朝や朝鮮半島を経由して多層的に影響を及ぼした可能性が注目されている。本稿では成都出土南朝仏像を中心に造形的特徴を検討し、法隆寺金堂釈迦三尊像との比較を通じて、止利様式形成における南朝系要素の可能性を考察する。なお、本稿は限られた作例を対象とするため、…