2024年のある日、ひとりの女性が「ふるさとで映画を上映したい」と声を上げた。映画評論家の解説つき。舞台は伊豆半島の西、松崎町。人口はおよそ5000人。日本でいちばん小さな町である。 松崎には電車が通っていない。代わりに、海がある。富士山が見える。かつては焼肉「大門」の2階と松崎港の近くに映画館があった。 松崎町は三國連太郎の故郷。静かな町に昔の風情が残り、海を舞台にした映画のロケで使われる。山口百恵をはじめ、斎藤工や福山雅治など、多くの有名俳優が訪れた。 そんな松崎に、もう一度、映画の灯をともす試みが始まった。 夏と秋の2回、映画上映会の下見に訪れ、上映場所を探した。最初は「伊豆の長八美術館…