〈昭和の忘れもの〉バイク番外編 【『がむしゃら1500キロ』浮谷東次郎(ちくま文庫)】 浮谷東次郎という名前をご存じの方はよほどのカーレース通か、年季の入ったバイクファンに違いない。彼は1942年(昭和17)千葉県市川市に生まれ、1965年に鈴鹿サーキットで練習走行中の事故でこの世を去った。23歳の誕生日の1ヶ月後のことだった。 クルマ絡みで早世というと『ジェームス・ディーン』(享年24)、『赤木圭一朗』(享年21)という日米の銀幕スターが思い浮かぶ。彼らは華やかな舞台で脚光を浴びていたこともあり、早過ぎた旅立ちはセンセーショナルに報じられ、現在でも多くの熱烈なファンによって語り継がれている。…