〈昭和の忘れもの〉モノ・コト編㊶ 【『VAN』のジャケット】 自慢じゃないが、ファッションセンスがない。容姿に恵まれているわけでもないので、何を着たところで変わらないと端から諦めている。それでも思春期には人並みに流行りモノにアンテナを張り、最低限の情報だけは仕入れていた。 まだDCブランドという言葉もなかったその頃、遅ればせながら“アイビールック”(通称アイビー)に出会った。すでに周回遅れだったが、お決まりのアイテムを身に着ければ、良くも悪くも他人の目を引かずに済んだ。コッパン(チノパン)にボタンダウンのシャツ、足元はローファ、そして3つボタンのブレザー(紺が定番で紺ブレと呼ばれた)があればた…