90年代の初頭、私が初めてトルコへやって来た頃は、「クルド問題」に興味を懐き、そのためにトルコを訪れる日本の人たちも少なくなかった。 北イラクで独立闘争を繰り広げていたバルザーニ氏の一族とタラバーニ氏の一族や双方の対立について、私も色々なことを教えてもらった。 当時、クルド人は「国家を持たない最大の民族」などと呼ばれ、「民族自決」の観点からしても、その独立運動は、当然、支持されるべきだと考えられていたようだ。 多民族国家だったオスマン帝国が崩壊に追い込まれていく過程にも、この「民族自決」という思想の影響はあっただろう。 しかし、帝国の崩壊によって独立したシリアやイラクのその後を見ると、彼らにと…