connotation (特に「デノテーション」に対して)言語記号の潜在的な意味。 たとえば「日の丸」は「日本の国旗」であると同時にしばしば「右翼的図形」と認識されるが、 前者はデノテーションであり後者がコノテーションであるとされる。 デノテーションが普遍的であるのに対し、コノテーションの内容は個人に左右されやすい。 伴示、内示、内示的意味などとも表現される。
1.はじめに 言語記号には恣意性があり、想起される意味には個人差がある。にも関わらず我々は母語話者同士の会話は成立すると期待し、記号のやりとりを試みている。拙稿では恣意性や意味の差異の補足方法について検討する。 2.言語記号の恣意性と意味 「何らかの共通の意味を音や図形など、人間が知覚できる表象を用いて伝達する手段を記号(sign)と呼びます。音によって意味(事柄)を伝達するのが言語ですから、言語も記 号の一種だと言えます。スイス言語学者のソシュール(Ferdinand de Saussure)は、 記号を構成する要素のうち、意味をシニフィエ(signifié)(所記…
日曜日。曇。 ぶ厚い雲が空を覆う中、航空自衛隊岐阜基地の「航空祭」が始まった。部屋にいても轟音が響く。 昼すぎ、畑からブルーインパルスの飛行が観られた。ループ(宙返り)や、あと四機がダイヤモンドを組んで真上を飛んだりとか。近くに来ると、機体が確かに青いのがわかる。 お八つに老母の作ったアップルパイを食う。あつあつで、なかなかうまかった。シンプルに紅玉のフィリングを既成品のパイ皮で包んで焼いただけだが、いいもんだな。 ちくま文庫新刊の『ゼロから始めるジャック・ラカン』を読み始める。200ページくらい読んだ。難解なラカンをわかりやすく説明していて、なかなかおもしろい。しかし、わたしはラカニアンには…
まず第一節では、関係、特に「関係性の危機」を問題にしこれを原理的に考察する。「関係性の危機」については、ギデンズ(1992)が、近代制度によらない(外部に参照点をもたず自律的な)個人とその関係性を「再帰的な自己」と「純粋な関係性」という概念で提示し、同時にそれがもつ困難を提示している。「再帰的な自己」とは、自分の行為をすべて自分がモニターしチェックし責任をもつような自己であり、「関係の純粋化」とは、誰かを選択することやその関係についての評価や責任を個人が引き受けることである。「関係の純粋化」は「再帰的な自己」の成立のもとで機能する。近代社会になって個人や個人主義は生まれたが、近代初期においては…
ポストモダンと身体論の流行 『現代思想』2023年4月号の「特集=カルト化する教育新教科「公共」・子どもの貧困・学校外教育』 現代思想2023年4月号 特集=カルト化する教育——新教科「公共」・子どもの貧困・学校外教育 作者:大内裕和,三宅芳夫,阿比留久美,土屋陽介,中村高康,矢野利裕 青土社 Amazon 冒頭の、大内裕和と三宅芳夫の対談、「新自由主義再編下の宗教とイデオロギー」で、大内は、80年代以降の日本における、新自由主義とポストモダンの流行の関係について指摘している。 ポストモダンがヨーロッパやアメリカの近代を批判することを通じて、それらに依拠してきた戦後民主主義を相対化すると同時に…
構造主義言語学(ソシュール)言語を記号とみなす source: Ferdinand de Saussure and Structural Linguistics 能記(シニフィアン)形所記(シニフィエ)意味恣意性線条性ラングとパロール通時態と共時態 ヤコブソンの言葉の機能6分類 主情的機能 相手に気持ちを伝える。感嘆詞、間投詞 詩的機能 メッセージ。音の響き、リズム、俳句、、しゃれ、早口言葉など。 働きかけ機能 相手に訴え、行動させる・命令、依頼、禁止、要請など。 交話的機能 人間関係。挨拶、相槌、会話など。 指示的機能 出来事の描写。雨が降っている メタ言語的機能 言葉そのものを語る 言葉の…
詩と出会う 詩と生きる 作者:英輔, 若松 NHK出版 Amazon 実を言うと先日、詩について仲間内でプレゼンをする機会をもらった。そしてその席でぼくはこの若松英輔の仕事について教わったのだった。若松の『詩と出会う 詩と生きる』では文字通りどのようにして人が「詩と出会う」ものかが語られている。言い方を変えればどのように「詩」がぼくたちの生活の中で機能しうるか。読みながら、ここまでいまの時代において「詩」を愚直に見つめ直しそこから言葉を発する――若松的に「つむぐ」と言うべきだろうか――姿勢を保持した書き手が現れたのかと、そのまなざしの強度に文字通り感服する。まなざしの強度……その若松のまなざし…
冒頭。プラネタリウムを見る燈が、劇中アイドルユニット「sumimi」の初華と居合わせるシーン。その後、プラネタリウムの上映終了後に、屋外で夜空を見上げる二人。 振り返ってみれば、この時に燈と初華の両者を媒介していた「星」は、この挿話においてキーとなる要素だったのかもしれません。”星”を広大の宇宙の中で、それぞれが別個に存在する恒星として見れば、それはただ雑多に空に散らばっているにすぎないものですが、各々の天体を線で結んで見た時には、「星座」という新たな”形”がそこに顕現し始めます。 前回の記事においては、記号論における「範列(構成要素)」と「連辞(要素の配列規則)」を援用しつつ考察しましたが、…
ロラン・バルトとともに読むバルザックの中編小説『サラジーヌ』。ジョルジュ・バタイユが傑作『青空』において宙づりにされたような気持ちにさせられる小説として『嵐ヶ丘』『審判』『失われた時を求めて』『赤と黒』『白痴』などと並べて挙げていた『サラジーヌ』。本書の裏表紙には『サラジーヌ』について物語のサスペンス的要素を構成する情報が隠されることなく書かれてしまっているが、本当であればそれすら忘れた情態で付録 1として収録されている1830年執筆の古典的作品『サラジーヌ』自体を読み、そのあとにバルトの構造分析批評を読むのがよい。バルトの批評はあたりまえのように作品の全体構造から作品を構成する各文章ブロック…
曇。 中学か高校の先生をしている夢を見る。授業をしていたのだが、家庭科と保健を併せたようなへんな教科を教えていて、何なのだろうな。また、生徒がグループに分かれたように座っていて、わたしはその間を歩きながら講義をしていたのも謎だった。 昼食に茗荷(ミョウガ)のみそ汁。茗荷は今年の初物である。 風強し。 ミスタードーナツ イオンモール各務原ショップ。生フレンチクルーラー+ブレンドコーヒー462円。 水野忠夫さんの『ロシア・アヴァンギャルド』(ちくま学芸文庫2023、元本1985)を読み始める。何というか、高校生か、せめて20代前半のうちに読んでおくべきな本だな。無知は怖い。いまさらだが、亀山郁夫先…
ニュースを見ていると今年7月の平均気温は12万年ぶりの暑さという見出しを見つけてびっくりしました。この前の間氷期ぶりの快挙を成し遂げてしまっていたのですね。 私はこの暑さよりも降雨の少なさの方が心配です。元々この時期はこれくらい雨が降らなかったのかどうか分からないけれどちょっとくらい降ってくれてもいいのではないでしょうか。 ということで本日も日中は外に出れるわけもなかったのでロラン・バルトの映像の修辞学を読んでいます。 作品は三部構成になっており2篇が論文で1篇はインタビューです。 最初に収録されているのが論文のイメージの修辞学 幾度か挑戦する度に数ページで何書いてあるか分からないので読む気が…
倉石信乃「中平卓馬と反ツーリズムの思考」(『美術フォーラム21』30号、2014年)。 ◯1960年代後半から約10年間にわたり、中平卓馬は写真家としてのみならず、既存の映像表現と政治への苛烈な批判者として健筆をふるった。 ◯高度経済成長下の日本では国鉄の一大キャンペーン「ディスカバー・ジャパン」が、観光の定着に貢献した。 ◯この広告制作をしたプロデューサーは、当の広告においてそれ自体の価値を超えることを目指したこと、もう一つは旅を通じた自分自身の発見、心の発見をテーマにしたと述べる。 ◯これは外部世界の解析を曖昧に回避したまま内向するということであり、旅行者に自らの仮想的な「外部」としての「…
2023年版初見時感情の赴くままに書いた感想はこちら。 もう一度観て、衝動的な感想やメモ書きはアウトプットしたので、もう少し冷静になってこの作品のことを考えてみようと思う。 この戯曲を、日本人が一度観ただけで隅々まで理解するのは(よっぽど1960年代のモントリオールの風景を身にしみて知っている人でなければ)正直言って不可能であると思う。イーヴと刑事が絶え間なく飛び交わす膨大な台詞には次々に固有名詞が登場し(しかもひとつひとつに文脈があり)、言外にもモントリオールという都市の複雑な背景が織り込まれている。テキストでじっくり時間をかけて読んだとしても、確実になにかを取りこぼすだろう。わたしもまだま…
曇。 朝四時台に起きる。 『中世哲学入門』の続き。承前。第四章、第五章、第六章を読む。ここからドゥンス・スコトゥスの「存在の一義性」の話となる。ドゥルーズが『差異と反復』の中で華々しく復活(?)させた概念ということで、注目されるし、キリスト教神学そのものにおいても重要な議論だというのだが…、いやもう、ここから途端に(あまりにも)むずかしくなる。とにかく、聞き慣れない、それも微妙な意味をもつ新しい概念で満ちているのだ。アリストテレスは当然のことながら、さらにイスラーム哲学(井筒俊彦!)が入ってくる。何が何だかわからない。確かにわたしは飛び抜けて頭がよいというわけではないが、ここまでむずかしいとは…
薄雲が多いが、晴れかな。 NML で音楽を聴く。■ショパンのバラード第一番 op.23 で、ピアノはマウリツィオ・ポリーニ(NML)。CD で何十回聴いたかわからない演奏だが、あらためて聴いてみるとほんとにすばらしいな。力むことなく、楽々と完璧に弾き切っているし(何という美しいレガート)、攻めるべきところは攻め、大きさ深さの到達も充分。曲の構造や音色の表現も考え抜かれている。何よりも、感動的だ。まさに現代ピアニズムの頂点、モダニズムの極致だろう。ただ、もう衰退というか、崩壊が始まっているのも聴き取れる。ポリーニは、結局、突き詰めすぎて、「完璧な演奏」というのが、わからなくなってしまったと思しい…
これからの活動にワクワクが止まらない最高のバンドを見つけてしまったのでご紹介します! メンバーや結成の経緯についてかなり詳しく解説してますのでぜひ読んでいってください! くわっっっしすぎるびっくり……全てが書かれている……ありがとうございます🥹 — アヤコノ🧢 (@ayaconno) May 12, 2023 ↑なんとこの記事について当バンドのメンバーであるアヤコノさんご本人にもリアクションしていただきました!! WOLVEs GROOVY とは? 『WOLVEs GROOVY(ウルヴズグルーヴィ)』は、2023年3月に始動したましのみ(Vo, G)、アヤコノ(Vo,Ba)、詩音(Dr)による…
晴。 虚栄心や承認欲求を解体するの、むずかしいな。睡眠がめっちゃ掘っちゃった。ほんと、自分は凡人だなあと思う。 いい天気。 スーパー。肉屋。 ウチの紫蘭。 昼からミスタードーナツ イオンモール各務原ショップ。ハニーディップ+ブレンドコーヒー。 『ショスタコーヴィチ 引き裂かれた栄光』の続き。承前。とてもおもしろくて、またコーヒーを二度おかわりし、一時間半くらいフードコートで読み続けた。ようやく残り三分の一くらい、スターリンが死んだあたりまで読む。オレって何にも知らないで音楽を聴いているなと呆れるくらい。まあ、ここまで深読みするのもやりすぎ(?)だろうと思わないでもないが、こういう音楽との付き合…