振り返ってみるとこれまであまり再生回数を重ねてこなかったシベリウスの3番。初めて名を知るこの指揮者の演奏で聴いたところ、実に色鮮やかな音の風景が目の前に浮かび上がる作品であったことに気付かされた。それは指揮者が持つ力量によって作り上げられたものなのか、もしくは作品が元来持っていたエナジーによるものなのかは、まだ今の自分では理解が追いついていない。「シベリウスとはこんなに取っつきやすいものだったか」と認識を新たにさせられたという意味においてインパクトの大きな演奏。かと言って何か奇天烈なギミックを織り込んでいるのとは異なる。オケと指揮者、双方の基礎体力が万全に整えられた上で、音を編み上げ織り上げて…