いちばん身近な存在のはずの、母親とも父親とも、幼い頃から信頼関係が築けなかった いつの頃からか、自分の周りに壁を作って、鎧兜を身に着けて、自分を守っていた 何かあれば、すぐ心のシャッターを下ろして、ひざを抱えて丸くなる 私の心は、どんどん固くなっていった 耕されなくなった土地のように あまりにも硬くて、水も浸透せず、ただその上を流れていく 両親はもちろん、周囲のひとを意識的に遠ざける私には、周囲からの優しさや思いやりは、伝わってこなかった あっても気づかなかった、気づけなかった それなのに、私は異性に救いを求めようとしていた 初めて「好きになった」と思ったのは、広島の小学校の同級生 学級委員に…