■窪田般弥著『女装の剣士シュヴァリエ・デオンの生涯』(白水社、1995)を遅まきながら一読しました。 シュヴァリエ・デオンものは、アニメ「シュヴァリエ」、斎藤明子作『仮想の騎士』と、今世紀に入ってからのフィクションものに接してきて、もう一つ肝心のデオンの実像がはっきりしないという、不満が残っていました。 で、フランス文学者として以前から名をしっている窪田氏の前世紀末の本格評伝を図書館で見つけて一読。読後感は、深甚なる衝撃、といったところでしょうか。こんな謎めいた妖美な人物が実在したなんて。 もちろんフランスの外交官でしかも国王直属の密偵として女装してロシア宮廷に乗り込み、女帝エリザヴェータに取…