再び、佐伯一麦さんの小説を読む。タイトルは「ショート・サーキット」で、福武書店から1990年に刊行されたものと一緒だがデビュー作「木を接(つ)ぐ」などを加えて再編したもので、2005年に講談社文芸文庫から出ている。Kindle Unlimited で読めるのを知り、「ノルゲ」とともに「レンタル」した。 5編のうち3編の発表は先週読んだ「ア・ルース・ボーイ」よりも先だが、時系列的には後日談になっている。電気工として家庭を持ち、アスベスト被害で胸膜炎(作品内では、肋膜炎)が発症し、子どもの病気の都合などを踏まえて東京を離れて、いずれ故郷に戻る。働きながら書いた小説が新人賞を受賞し、作家としての生き…