一条真也です。たった一字に深い意味を秘めている文字は、世界でも漢字だけです。そこには、人のこころを豊かにする言霊が宿っています。その意味を知れば、さらに、こころは豊かになるでしょう。今回の「こころの一字」は、「機」です。 人間に最も大切なものは「機」というものだ。こう言ったのは、陽明学者の安岡正篤です。これは人間のみならず、自然もすべて機に満ちています。したがって人生とは、すべて機によって動いていると言ってもよいでしょう。のんべんだらりとしたものではなくて、常にキビキビとした機の連続です。機というものはツボとか勘どころとかいうものであって、その一点ですべてに響くようなものです。そこで機を外すと…