一条真也です。たった一字に深い意味を秘めている文字は、世界でも漢字だけです。そこには、人のこころを豊かにする言霊が宿っています。その意味を知れば、さらに、こころは豊かになるでしょう。今回の「こころの一字」は、「行」です。 心学を開いた王陽明は、本当に知るということは創造することであるとして、「知は行の始めなり。行は知の始めなり」と説きました。「知」というものは行ないの始めです。「行」というものは「知」の完成です。これが一つの大きな循環関係をなすのです。 陽明は有名な「知行合一」を唱えました。未来に向かっての行動の決定に対しては、人間が学としてとらえられる、言語化された知だけでは不十分です。禅で…