Julien Gracq 1910-2007 フランスの小説家。本名ルイ・ポワリエ。青年期にアンドレ・ブルトンをはじめとするシュルレアリストたちと親交を結ぶ。戦後はパリの高校などで地歴の教師として勤務するかたわら創作活動を行う。
1951年『シルトの岸辺』に対しゴンクール賞を与えられるが、受賞を拒否する。以後も文壇と隔絶して過ごす。
主な作品
食虫植物を指にささへて、長い硝子管で月を吸ってゐると、やがて脳髄が青白くなり、真珠色になり、巻尺で計ると背中の方から破れてしまつた。――北園克衛 さて、「詩に近づく小説、小説に近づく詩」というテーマで小さなブックリストを作ることになった。 自作について「とても詩的な小説ですね!」と笑顔で感想を伝えたらほほえんでくれる小説家はいるかもしれないが、「小説みたいな詩ですね!」と対面で感想を伝えてもいい顔をしない詩人が多いというのが筆者の推測。数多の言語表現のジャンルがある中、自分のスタイルというものに限りなく意識的になり、その上で詩という形式を択びとった人が多いはずだからである。 そのうえでわざわざ…
現代フランス文学13人集〈第2〉トロピスム,迷路のなかで,瀕死の王 (1965年) 作者:ナタリー サロート,アラン ロブ=グリエ,ウジェーヌ イヨネスコ メディア: 単行本 異国の女(ひと)に捧げる散文 作者:ジュリアン グラック メディア: 単行本 『トロピスム』がデビュー作として出版されたのは本当にすごい。晩年に「幻の処女作!」みたいに打ち出されるのではなく、一発目でこれが出る。出版社は勇気が必要だっただろう……。
2020年に読んだ本一覧です。 2020年の読書メーター読んだ本の数:136読んだページ数:28392ナイス数:729量読了日:01月01日 著者:〓塚 謙太郎 ものいわぬ農民 (岩波新書 青版)の感想戦後間もない頃の東北の農民の暮らしを描いている。貴重なフィールドワーク。読了日:01月03日 著者:大牟羅 良農村は変わる (1960年) (岩波新書)の感想1960年の頃の農村からの後継者流出について書かれている。この頃から既に農村の衰退は始まっていた。読了日:01月03日 著者:並木 正吉心の風物誌 (岩波新書 青版 475)の感想精神医学者のエッセイ。心休まる。読了日:01月03日 著者:…
2020年に読んだ本でよかったものを挙げていきます。 1.ナオミ・ザック『災害の倫理』 災害において倫理学の理論はどのように応用できるか。応用倫理学の非常にタイトにまとまった優れた本。 2.斎藤環・與那覇潤『心を病んだらいけないの?』 現代日本社会を縦横無尽に斬っていく。今社会はどうなっていて何が問題なのか。大きく広げられたアンテナでとらえられた事象を鋭利に批評していく。 3.ジュリアン・グラック『アルゴールの城にて』 文章で奏でる壮大な交響曲。ストーリーがどうとかではなく、言語そのものの美しさを感じ取れる。読後に幸福感が訪れること間違いなし。 4.本田由紀『教育は何を評価してきたのか』 著者…
旅としてのテクスト、庭園としてのテクスト 森のバルコニー・狭い水路 (白水社世界の文学) 作者:ジュリアン・グラック,中島昭和 メディア: 単行本 旅――帰還を念頭に置かない旅だけがもろもろの生の扉をわれわれに開き、真にわれわれの人生を変革させうるものであるにしても、とりわけて高尚にかなった散策、二、三時間で振り出しの繋索へ、わが家の籬のうちへとたちもどる――波乱もなく意外な出来事とてない――ささやかな旅にはより隠密なあやかし、魔法使いが杖を振るにも似た魔力が結びついているものだ。(ジュリアン・グラック「狭い水路」、上掲書229ページ。) テクストと表象 作者:小西 嘉幸 発売日: 1992/…
街道手帖 (シュルレアリスムの本棚) 作者:ジュリアン グラック 発売日: 2014/08/01 メディア: 単行本 この本を構成するメモが扱う街道は、もちろん地上の風景を横切り、つなぐ街道である。しかし、それはときには夢の街道であり、しばしば記憶の街道でもある。その記憶は私の記憶であるが、集合的な記憶、ときにはそのもっとも遠いもの、すなわち歴史でもある。 (上掲書、1ページ、著者による前書き)
アルゴールの城にて (白水Uブックス) 作者:グラック,ジュリアン,ジュリアン・グラック 発売日: 1989/05/01 メディア: 新書 ジュリアン・グラックのこの小説は、さながら一つの交響曲のように華やかに奏でられていく。美しい女性であったり楽しい会話であったり恋の気持ちや死などアルゴールの古城で起きる出来事が、独特の複雑な文体で大仰に、読む者の感情を刺激するように書かれる。感情に強く訴えるものであることと、複雑で繊細な構造を持つものであること、これがこの小説を交響曲のように仕立て上げている。 それゆえ、この小説は内容より形式が重要であり、形式によって華麗に積み立てられた壮麗な建築物を楽し…
Au château d’Argol シルトの岸辺 (岩波文庫) 作者:ジュリアン・グラック 発売日: 2014/02/15 メディア: 文庫 アルゴールの城にて (岩波文庫) 作者:ジュリアン・グラック 発売日: 2014/01/17 メディア: 文庫 最近、ジュリアン・グラックによるテクストの「建築性」のようなものについて考えている。「建築(architecture)」のような、人為的で明確な構造をもつものというよりは、岩山のような砦(その中の海図室)、全体が崩落しつつある廃墟の街、ヴェッツァノの入江の真っ白な断崖、岩と岩の隙間に穿たれた、洞窟にも(しかし頭上は開いている)地下室(クリプト…
Le Jeune homme du dimanche et des autres jours(1955)Jules Supervielle 自宅から車で二十分くらいのところに、老夫婦が経営している古本屋があります。チェーン店でも専門店でもない小さな店舗で、足の踏み場もないほど雑然と本が積みあがっている店です。 主力商品は、アダルト雑誌、新しめのミステリーや時代小説の文庫本ですが、それらに混じって、なぜか昭和に刊行されたフランス文学が充実しています。 店主が高齢の古書店の場合、たまたまよい本が残っていただけで、それらを買い占めてしまうと、それ以降、棚に変化が生じないケースが多い。ところが、この店…
劇場 20世紀のロシア小説1 ミハイル・ブルガーコフ 水野忠夫訳 B6判 ビニカバ ヤケ汚れ 1972 白水社 ¥2,000 悪魔の日記 20世紀のロシア小説2 レオニード・アンドレーエフ 小平武訳 B6判 ビニカバ ヤケ 汚れ強 シミ 1972 白水社 ¥4,000 悪魔の人形 20世紀のロシア小説3 ジナイーダ・ギッピウス 村手義治訳 B6判 ビニカバ ヤケ汚れ 1972 白水社 ¥1,200 南十字星共和国 20世紀のロシア小説4 ワレリイ・ブリューソフ 草鹿外吉訳 B6判 ビニカバ ヤケ汚れ 1973 白水社 ¥1,000 ソヴェト文学と現代 その創造と自由 草鹿外吉 B6判 カバスレ…
1. 【表現】Le petit matin 早朝。たとえば、Pour attendre le bus dans le froid du petit matin.[バスを待つために早朝の寒さの中で] 2. 【発音】Maximumのumの発音は、ラテン語起源なので、オムとなって、全体はマクシモムとなる。マクシマmaximum のフランス語発音はマクシモム。ミニマムminimumのフランス語発音はミニモム。ミニマムもマクシマムもラテン語由来なのだ。Je fais le maximum: ベストを尽くします。 3. 【完了不定詞それ自体に時制はない。】Après avoir dîné, nous re…
COMPLETE SINGLE COLLECTION「SINGLES」 アーティスト:BLANKEY JET CITY 発売日: 2013/03/27 メディア: CD 子どものころ、しばしば、そしてひどく、倦怠を感じていた。それは非常に早い時期にはっきりとはじまり、生涯をつうじて間欠的につづき(仕事と友人たちのおかげでだんだんと少なくなったことは事実だが)、いつも外から見てわかってしまうのだった。突然に襲ってくる倦怠であり、苦悩にまでなってしまうのだ。シンポジウム、講演、知らない人とすごす夕べ、集団での遊びなど、倦怠が〈外から見えてしまうかもしれない〉場所のどこででも感じてしまう。ということ…
2015年に紀伊國屋書店新宿本店で行われた「皆川博子の本棚」フェア。そこで配布されたペーパーに掲載されているお薦め本リストが以下。 「皆川博子の本棚」特製ペーパー 万葉秀歌(斎藤茂吉)(岩波新書)塚本邦雄の歌集(『塚本邦雄の宇宙』等) 葛原妙子の歌集(『現代歌人文庫』等)マルドロールの歌(ロートレアモン)「酩酊船」を含む詩集(『ランボオ詩集』等)(アルチュール・ランボー)悪童日記(アゴタ・クリストフ) ハヤカワepi文庫ふたりの証拠(アゴタ・クリストフ) ハヤカワepi文庫第三の嘘(アゴタ・クリストフ) ハヤカワepi文庫ジェゼベルの死(クリスチアナ・ブランド) ハヤカワミステリ文庫ミステリ・…