【sophist】「智恵ある者」の意。紀元前5世紀頃のギリシャ(特にアテナイ)で、法廷での弁論術や修辞法などを職業として教えた者。ソクラテスも同時代人からはソフィストの一種と見なされていた。客観的な真理は存在しないと説く者が一般的で、そのため後に「詭弁を弄する者」のようなネガティブな語義が生じた。
尚、後期プラトンに、「ソピステス」、即ち「ソフィスト達」と題された対話編のあることも逸せない。
思いがけずソクラテス以前の人々を長く紹介しておりますが、今回で一応の区切りを…...ということで、以前にも少しだけ触れたソフィストたちを最後に取り上げたいと思います。ソフィストとは「賢い人」、また「教えてくれる人」というほどの意味合いですが、彼らが活躍した紀元前5世紀ごろのアテナイでは、やや不安定な社会情勢の中で弁論の術が求められるようになっていました。主張の正しいかどうかよりも、正しいと思わせられるか――多くの人を扇動する技術が必要とされたのです。 この弁論の術を人々に教えたのがソフィストたちであり、また彼らは相応の金銭を受け取ってもいたため、嫌われることが多かったようです。実際、プラトンや…
私が一番好きな小説で、この本との出会いは私の人生をかなり変えている気がします。 尾崎紅葉の長編小説で、読売新聞で連載されていた恋愛小説です。お宮は貫一の許嫁であり、貫一は両親のいない孤独の身にして、お宮の家に幼い頃からお世話になっている身である。そんななか銀行の頭取の息子とお宮が結婚するということとなります。全てを失った貫一は、熱海でお宮を蹴り飛ばし、お宮の両親が引いてくれた大学や留学の切符も破り捨て、全てを捨てて高利貸になります。その後、高利貸となった貫一と嫁いだ宮の両軸でストーリーが進行していきます。結論、宮は貫一を、貫一は宮を、感情として切り捨てて前に進むことができずに、憎しみと愛情と交…
今日から、私の倫理の復習がてら色々学習していこうと思います。 まずは、ソクラテスと言いたいところだが ソフィストってのを紹介していく。 ソフィストっていうのは「弁論術の先生」のこと。まあ、今でいう学校の先生が「ディベート教える」ってのとおんなじ感じかな。 ソフィストが誕生したのは、めっちゃ前の時代。紀元前5世紀頃の話だね。 このときのギリシアは民主政治で、とにかく指導者っていうのは一般市民からの支持を集めないといけなかった。 民主政治って、国のみんなと国を治める人がおんなじ意思で動かないといけないからね。どうしても一般市民の共感が必要だよね。 そんなこんなで、「相対主義」という考え方が生まれた…
目次 目次 注意 ▼▼Apple Podcast▼▼ ▼▼Spotify▼▼ noteについて ▼▼youtubeチャンネル登録はこちら▼▼ 前回のリンク パイドロスとパウサニアスの主張 エリュクシマコスの主張 アリストファネス 太古の人類 人類の起源 参考文献 注意この投稿は、私が配信している Podcast番組『だぶるばいせっぷす ~思想と哲学史』で使用した原稿です。 放送内容は、私が理解した事を元に行っています。ご了承ください。▼▼Apple Podcast▼▼だぶるばいせっぷす ~思想と哲学史木村 ゆう哲学¥0podcasts.apple.com▼▼Spotify▼▼open.spot…
puf(Les Presses universitaires de France)版差異と反復 僕にとっての哲学入門書 哲学入門にはアリストテレス『形而上学』がよい 近代の哲学について考える場合 社会と哲学 僕にとっての哲学入門書 ごくごく個人的な回想になるが、僕にとっての最初の哲学入門書はジル・ドゥルーズの『差異と反復』だった。この本は、書かれたのも翻訳されたのも新しいから、ということもあるかもしれない(僕が読んだのは財津理訳の河出文庫のやつである)。二、三人の友人と定期的に輪読する形で、要約を作りながら1年ちょっとかけて読んだのだった。 フランス現代思想の哲学書、と紹介されることもあるが、…
有力者への助言者としての「哲学者」というのは危うい。世には権力にすり寄る「知者」がいる。もちろん権力者自体が知者であることも多い。愚者が権力を偶然に手にしても持ち堪えられるのだろうか。歴史的に僭主に愚者がいるとは思えない。クリティアスは文献的には「ソフィスト」に入れられる人であった。プラトンの母方の親戚でかの悪名高い三十人政権の首領の一人である。なんせこのクメールルージュみたいな粛清政権はペロポネソス戦争時よりも死人が出したそうだ。クリティアスは自分が信じてもいないような神様によって人民の気持ちをまとめようと考える人物であり一種のカリスマ的独裁志向とされる。その歴史上のわかっているふるまいから…
ソクラテス ペロポンネーソス戦争に三度従軍し、よきアテネ市民としての義務を果している。この戦争に於て彼はあらゆる困難に耐え、最も勇敢に戦い最高の勇士として賞讃を受けた。彼は当時のアテネで学び得る知識を吸収した。当時の自然学に通じピュタゴラス派の人々と交友があり、ソフィスト学者等とも親しかった。宗教(オルプエウス)にも関心を有つ、特に霊魂観に強い感銘を受けた。且つ神霊者でもあった。また時折忘我脱魂の深い瞑想に陥る特異の性格の人でもあった。敬虔にして謙譲であったソクラテスは神の託宣に驚き、当時賢者として評判の高い人々を訪ね問答を試みたが、賢者たちは問い詰められ、返答に詰まり、真実の知を持っているわ…
ひとまず戻ってきて、特に恐ろしいことは起こっていない。ただ、宿泊した夜はうなされて眠れなくてほとほとまいった。その後も発熱を伴わない慢性的なだるさが続いている。新年度だというのに、幸先が悪い。心身も弱る。 一と多。普遍と個別。この結合をどのように考えるかということを、自分の課題としても思う。歴史性によって考えようとする、ということに最近は同意もするようになった。具体的なところから出立しようとするなら、そうでなければならない。しかし、一つの鋭利な普遍性が成立し得るということそのこと自体もまた、十全に考えられなければならない。それは単なる歴史性に基づいては考えられない。いわゆる具体性というものを欠…
パルメニデスやゼノンに連なるエレア派の論理学を学んだであろう「エレアからの客人」を対話の主人に据えたプラトンの後期対話篇2篇。ソクラテスは対話導入部にほんの少し顔を出すだけで、後期プラトンの思想を代弁する「エレアからの客人」が、「分割法(二分割法, ディアイレシス)」と呼ばれる二分割法による論究の方法を用いて、ソフィストとは何者か、すぐれた政治家とはどういったものかということを、追及していく。『ポリティコス(政治家)』は『国家』でも語られている哲人王の優位性が論証され、『ソピステス』ではソフィストの欺瞞性や偽物性が明らかにされているのだが、結論自体よりも、その大きく迂回しながら最終結論にいたる…
僕は別にプーチンの肩を持つわけではないが、冷戦終結期のNATO不拡大の「約束」自体はあったと思っている。もちろん公文書や協定では残っていないだろうが、同時代を生きてきて、ここが疑われていることに驚く。 当時はNATO不拡大はむしろ常識であって、マスコミはそれを前提にした論調になっていたと思うのだが。公電や記者会見の記録でも残っているだろう。それを「約束」とみなすかどうかの話であって、信頼に価値を置く、信頼が相互理解の根底であるとみなすならば、いまさらソフィストまがいの詭弁を弄しても、分があるのはロシアであると思う。 NATOはもちろん対ソ封じ込めの道具であって、冷戦終結後、その存在意義を失くし…
今日は結局そこそこ安定して眠ることができた.それで朝も7時のアラーム以前に目が覚めてだらっと起きることができた.悪くない.体の調子はまだ引きずっているとは思うんだけれど,それでも昨日みたいな感じはなくなっているのでいいんだろう.こんな感じで復活していくのか,今日また調子が悪くなるのかはわからないけれどそれでもまあやってみることにしよう.ええと,納豆を食べたことがよかったのかもしれないし,空腹の時間が結構長めにとることをやっていた.それなりに空腹であることによって体が眠ろうとするのを助ける効果があるのかもしれない.学生の時は食生活が雑でも生きていけたけれど,それでも猛烈に眠かったことを覚えている…
日本は、演説をする伝統も聞く伝統もあまり無いでしょう。そんな修辞学の伝統の無い日本で、演説が政治を突き動かした、というケースといえば、何かありましたかね。いや、北条政子まで遡らずに、近現代の日本で。失言が政治を動かした例はいくつか記憶にありますが。 — 中田大悟 NAKATA Daigo (@dig_nkt_v2) 2022年3月17日 これは本当になぜだか分からんのだけど、今の日本人は書き手も読み手も、あまり文章を声に出して読まないことが甚だしく、自分など本邦に雄弁家が絶えて久しい理由の一は、確実にここにあると思ったりするのだ。 — OGAWA Kandai (@grossherzigkei…
先に断っておきたいが、このような考えはおそらく現代ではひねくれたものであろうし、オタクに受け入れられるとは思っていない。だがこのような穿った考えがあるということを紹介したい。 私がいつものようにツイッターを眺めていたところ、興味深いツイートを発見した。表題は「ゲームなんてやって何になるの?に対する答え」である。その中では年配の人にその質問をされ、画像の中で男性は次のように答える。 『おいしいもの食べるときにこれ将来何になるんだろうって食べます?』 「いや、それは楽しい体験して元気になって明日も頑張ろうって気になるからでしょ」って返ってきたから「それです」って答えた この画像は大きな共感を呼び、…
By "Copyright 1949 Link 男女同権を主張する夫婦弁護士の対立を描く会話のやりとりが楽しいコメディー 今朝の1日1映画は『アダム氏とマダム』(1949年 アメリカ)を鑑賞。 ある日、夫の浮気が原因で女が発砲騒ぎを起こした。 検事補のアダム・ボナー(スペンサー・トレイシー)と弁護士のアマンダ・ボナー(キャサリン・ヘプバーン)の弁護士夫婦が、夫側と妻側それぞれの弁護を担当することに。 それぞれの立場を主張しながら裁判を進めるが…。 夫は男の都合を、妻は女の権利を主張してやりあうという、ソフィストケーテッド・コメディの秀作です。 原題は女性の意味である「アダムの肋骨(Adam's…
世の中ソフィストに溢れかえっている。 だいたいの人は詭弁家だし、僕もソフィスト的になっているときはある。 ソフィストにNOを突きつけた人物といえばソクラテス。 相対主義にNOを突きつけたのもソクラテス。 ソフィストはだいたいにおいて相対主義。 自分の領域を荒らされたくない。 自分は自分、他人は他人。 そうやって割り切って線引きするのが相対主義。 相対主義の何がいけないの? と思うこともある。 他人に踏み込まれなくない領域は僕にもあるし、 相対主義でなければやってられないこともたくさんある。 しかし、相対主義は冷たいなとも思う。 相対主義は人の心に分離感をもたらす。 結局はこの分離感こそ人間の分…