前回紹介したカエターノ・ヴェローゾのアルバム『異国の香り ~アメリカン・ソングス』を聞いていて、思い出したことがある。何年か前、土曜の朝の対談番組に、作詞家の松本隆が出演していた時のことだ。 あのぼんやりやさしい語り口で、ヒットを連発しはじめた頃の作詞に関するエピソードを色々披露していたのだが、番組の最後に「今、心に響く曲」として松本隆が選んだ音楽が、コール・ポーターの「ソー・イン・ラブ」だったことを、僕は意外に感じたのだった。今なお新しい挑戦を続けているこの稀代の作詞家の「今」と、1948年に作られ既にスタンダードにもなっている古いアメリカンソング「So In Love」が、一瞬マッチしなか…