本作は機知に富んだ会話とトボけた間の取り方が楽しい戯曲風の作品です。テーマの掘り下げはさほど深くありませんが、興味深い着想を含んでいます。 【要旨】 「僕」は渋滞の道路上でタクシーの車内に閉じ込められている。 「吸血鬼って本当にいると思います?」の問いかけ。 不思議な体験のあとの彼女とのしっくりこない会話が印象に残る。 『車内での会話』 「吸血鬼って本当にいると思います?」 「キューケツキ?」僕は呆然としてバックミラーの中の運転手の顔を眺めた。運転手もバックミラーの中の僕の顔を眺めていた。 「キューケツキって、あの血を吸う・・・・・・?」 この会話のあとで、物語は奇妙な方向に展開します。二人の…