選択肢のある人間とない人間がその背景を明言しないまま関係を続けることの先にある絶望的な重苦しさ。この小説に出てくる主人公は若者だけど、これは大人になっても何度も追体験するもの。この本は短編集で、どの物語の中にそういう追体験の素が色違いで差し込まれています。一話読み始めたらもうその話を読み終えるまで止められなくなる。知らされたことで苦しくなるのはなぜだろう。知らなければ、大好きなその人はわたしにとって無害であったのに。害があったら嫌いに転ずるかというとそうではないからこそ、無害であってほしかった。この感情を可視化するのはかなりしんどい作業のはずで、こんな高負荷スクワットをやる女性作家がいま韓国で…