チューリップ喜びだけを持つてゐる 細見綾子チューリップの存在そのものの喜びが、みなぎっています。今にも喜びが溢れ出しそう。それが喜びであることさえ忘れてしまうほど。満ち足りた世界そのもの。わたしの大、大好きな細見綾子の句です。無垢な心の瞬間。その瞬間にしか、世界はその存在を露わにしません。心が澄みわたり、例えば、モーツァルトの音楽がひしひしと心に響いて止まない、その一粒の涙。まさしく、イノセント。通常の所謂「言葉」は、説明にすぎません。説明は、分かってしまえば、それでおしまいです。生命がない。理解されれば、命を終えます。 <イノセント> チューリップ喜びだけを持つてゐる 細見綾子詩の言葉は違い…