正式にというか語源はニッカーボッカーズ(knicker bockers)。膝下でくくる、ゆったりとしたズボンという意味。もともとニッカボッカーズはオランダの男子子供服のスタイルであった。Knickerbockerとなるとオランダ系アメリカ(ニューヨーク)人ということらしい。
一般的にニッカポッカという言葉から連想されるものは土木・建設系の現場作業員のだぶだぶしたズボンであろうか。ニッカボッカーズからニッカポッカに日本にきて変わっていったものと思われる。発声する際になんとなくいいやすく、音が良かったからかもしれない。
150年くらい前に自転車が発明された。そして自転車が流行した時に、ペダルをこぐ際に裾が絡まらないズボンとして使われ始めた。自転車の利用者の広がりとともに「自転車着」としてニッカーボッカーズも広まっていった。そのゆとりあるデザインが持つ動きやすさが人々に認識され、主にブルジョワ階級のスポーツ(乗馬、ゴルフ、登山)ウェアへと利用され、より「おしゃれ」につくられようになった。
日本では上流階級は別として軍服(野戦服含む?)から庶民の間に伝わったのが早いらしい。敗戦後物資不足の中、着物は高価になりさらには洋服が主流になりつつあった中、作業着として適当なものとして動きやすく丈夫で、比較的数があった軍服が職人の間でつかわれた。その軍服のズボンが機能的にも優れていたため、今のニッカもそのようなデザインになっているという説。ただ軍服由来とすると、ニッカーボッカーという名前がどう継承されてきたのかがわからない。騎馬隊の乗馬服を介して軍服を含めたそういう形態をしたズボンの総称として一般化したのだと推測する。
軍服の裾部はゲートルによって絞られ動きやすくなっていた。現在作業着のニッカは裾部にゲートルの代りとしてベルトがついており、それを絞ることで同じ役目を果たしている。それぞれの用途として使われる際、足元の軍服に対しての半長靴が地下足袋の形態になんとなく似ているように思われる。最近テレビに映される機会の増えた迷彩戦闘服姿の自衛隊員も半長靴でズボンの裾を絞って少しだぶつかせて着ている。機能的に似た物となっている。
乗馬や登山、ゴルフ用のニッカーボッカーズはそのままの形で外国からそれぞれ専用のニッカズボンとして日本に渡来し、普及したと考えるのが自然。
日本の祭り衣装にも似た形の服飾も見られるため、一概に輸入概念と括るのも難しい。